厳島神社とは?歴史とご利益

厳島神社は推古元年(593年)に創建され、平安時代後期にあたる仁安3年(1168年)に現在のような海上社殿が建てられました。平頼盛や毛利元就、そして豊臣秀吉が参詣したことでも知られています。

厳島神社に祀られているのは「宗像三女神」と呼ばれる、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)の3人の女神で、一説には「いつくしま」は市杵島姫命の「いつきしま」が訛って呼ばれるようになったとも言われています。市杵島姫命は七福神の一人でもある弁財天と同一視される女神で、水の神として弁舌、学芸、智恵に秀でていたとされています。

そのため、航海を始めとした交通安全や水に関係するご利益に厚いことで知られており、その他にも、商売繁盛や必勝祈願、学業成就などのご利益があることで有名です。

宮島のシンボル『大鳥居』

『日本三大鳥居』の一つで、重要文化財にも指定されている大鳥居は満潮時には海に浮かんでいるように見えますが、干潮時には歩いて近くまで行くこともできます。

世界的にも有名な赤い大鳥居は風水害などを受けて過去に何度も改修が行われ、現在の大鳥居は1875年に8代目として建立されました。注目すべきはその柱元で、海底に埋めらていない柱元は松材で杭打ちされた地盤に箱型の島木の中に石が詰められ重み付けされ、この重さと鳥居そのもの重さだけで立っていて、この16mの木造の鳥居は日本一の高さであり、これは奈良の大仏とほぼ同じ高さです。

そして、これだけの高さを支える柱には、大きさと太さ、そして強度が必要ですが、記録によると、現在の大鳥居の柱には樹齢500〜600年のクスノキが使用されており、これの柱を探すために20年もの歳月がかかったと言われています。


ここだけの特別な体験『舟で鳥居くぐり』

大鳥居へは干潮時に歩いて側まで行くのも良いですが、「海に浮かぶ大鳥居」として知られているだけに、船に乗って側まで行くという楽しみ方もおすすめです。贅沢な大鳥居くぐりを体験させてくれる船は、宮島のフェリーターミナルから厳島神社方面に歩いて10分程の場所から出ている「ろかい舟」です。

この「ろかい舟」はその名前の通り、艪(ろ)と櫂(かい)のみの人力で進む、昔ながらの舟で、舟の性質と安全のため、運行は「3月から11月頃まで」の「天候に恵まれた日中」の「満潮時前後」などの条件が全て揃った時のみの不定期運行されます。そのため、訪れた時に運行している保証はありませんが、「ろかい舟」で20分かけて行う「鳥居くぐり」は、ここだけの特別な体験なのです。

機会があれば是非、乗船して素晴らしい景色を堪能することをおすすめします。

隠れた名所!見応えある『五重塔』

厳島神社は大鳥居が世界的にも有名なために、大鳥居の見学と神社への参拝をして帰ってしまう方も多いですが、実は五重塔も隠れた見どころの一つです。

現在、日本には22の五重塔が現存していますが、宮島にはあるのはこのうちの一つであり、重要文化財にも指定されています。厳島神社の社殿から少し距離のある丘の上に建てられており、高さ27mで、1407年に建立されて以来、これまでに改修(1533年)、解体修理(1913年)、屋根の葺替え工事(1951年)が行われてきました。本柱が通っているのは2層目までで、地震や強風に耐えうる特徴的な造りとなっています。

塔の魅力は何と言っても、大鳥居や社殿と同じ艶やかな赤い色の外観です。全国的にもこれほど艶やかな朱色でそびえ立つ五重塔は他にはなく、古代中国と日本古来の建築様式が融合した塔には風格と迫力があります。

押さえておきたい宮島観光のポイントあれこれ

宮島にはこの他にもいくつか観光ポイントがあります。その一つが島内にいる鹿とのふれあいです。宮島に鹿を目当てに訪れる人も多いようですが、宮島では奈良のように鹿に餌やりをするこは禁止されています。

これは増えすぎた鹿を自然に返すためのプロジェクトの一環であり、また、人間の食べ物から鹿の健康を守るための配慮でもあります。この他、宮島ロープウェイで島を見渡せる獅子岩展望台を訪れてその景観を楽しんだり、宮島水族館で海の生き物を鑑賞したり、瀬戸内の生態系について学んだりと、宮島を含む瀬戸内の自然の魅力を陸と海から堪能することができます。

宮島水族館では、希少種になったイルカに似たスナメリというクジラ目の一種をはじめとして、カワウソ、トド、ペンギンなど海洋生物の体験型展示されている他、アシカのショーが開催されています。

フェリーに乗ろう!宮島へのアクセス情報

厳島神社は海に浮かぶ大鳥居の風景が印象的なためか、本州から観光する場所であると思っている人も多いようです。しかし、厳島神社のある宮島は瀬戸内に浮かぶ島であり、主な交通手段はフェリーです。

フェリー乗り場まではJR宮島口駅から徒歩6分、広電宮島口から徒歩2分、もしくは車でアクセスできます。島内は車で観光できる道がほとんどないため、車はフェリー乗り場の近隣駐車場に停めるのが一般的な観光スタイルです。

近隣には複数の駐車場があり、料金は500円〜1,000円/日で、フェリー乗り場に近いほど高く設定されています。宮島へ渡るフェリーはJR西日本宮島フェリーと宮島松大汽船があり、運賃(片道:大人180円、小人90円)も所要時間(約10分)も同じですが、JR西日本宮島フェリーでは9時10分から16時10分の便では大鳥居の近くを通る大鳥居便が運航されています。

見どころいっぱい!宮島観光に宿泊プランがおすすめ

とくに関東の人は宮島を江ノ島と同じくらいの大きさとイメージしているためか、厳島神社を日帰りで楽しむ観光地と考えている人も少なくないようです。

しかし、宮島は江ノ島の実に100倍の面積(30.39 km²)があり、島内には観光スポットやお土産屋さんも多く、宿泊施設は10数件もあります。厳島神社の参拝だけなら日帰りでも十分に行えますが、その他の島内観光や宮島水族館を楽しむには、島内に宿泊しての観光プランがおすすめです。

宿泊施設の多くはフェリーターミナルや厳島神社の周辺の本州を臨む場所にありますが、東側に位置するホテルもあり、こちらは中長期の島内リゾートを充実させるのに向いています。

宮島は春の桜と秋の紅葉が美しい時期とされており、この時期の島内観光は特に人気です。春と秋以外でも、青い海と空に大鳥居が映える夏や雪化粧をした大鳥居などの景色も趣きがあります。